アメリカは忘れない

そして今年も、TVでは広島の悲劇を語り継ぐ特番が目白押しだった。身に受けた痛みは忘れがたい。中国人は南京大虐殺を語り継ぐだろうし、フィリピンでは「バターンの日」は国民の休日だ。*1


不思議なのは米国で、一方で「真珠湾とバターンを忘れない」などと嘯きながら、バターンの虐殺の黒幕である辻正信には免責を与えている。


あるいは、ひょっとすると、トルーマンもバターンの真相を本当に知らなかったのかもしれない。その可能性はある。本間雅晴をマニラに送り込んだのはマッカーサーだし、辻の免責の件も、GHQとして対英のアクションを起こしている以上、そこにはマッカーサーの許可があったハズだ。マッカーサーにしてみれば、バターンの虐殺が辻の手製命令によるごく一部の出来事であるという真相が認識されるより、軍司令・本間雅晴の命令による日本軍全体の行動であったというイメージが定着した方が都合が良い。米比軍に遥かに劣る戦力でマッカーサーを負かしてしまった本間が、ヒーローとして認知されてしまっては困るのだ。ヒーローはマッカーサーでなければならない。マッカーサートルーマンの不仲は有名な話だ。米国民と大統領が、バターンの真実を知らされていなかったとしても不思議ではない。


だが私にはどうも引っ掛かることがあるのだ。
アメリカは○○を忘れない」
そんな言説を、我々は最近も耳にしなかったろうか?
○○に「9.11」を当てはめると、何が見えるだろう?


一方では相手を非難する言説を吐きながら、その実、その相手に援助を与えている、そんな事例が最近もありはしなかったか? タリバンの形成に最も大きな功績を果たしたのはCIAではなかったか? 独裁体制のフセイン政権に最大の援助を与えた国はアメリカではなかったか?


本間雅晴をマニラの軍事法廷に送り込んだのと同様の手法が、フセイン軍事法廷に送り込むために使われているかもしれない…


そのことに気付いている日本人が、果たして何人いるだろうか?


この話題、続く…